日本では長年にわたってがんが死因の第1位となっており、2023年には約38万人ががんで亡くなっています。特に男性では肺がん、女性では大腸がんの発症が多く報告されており、早期に発見できれば治療の選択肢が広がり、生存率を高めることが可能です。
がんの予防と早期発見には、定期的な健康診断が非常に重要です。40歳以上を対象とした特定健康診査(特定健診)は、生活習慣病のリスク評価を目的としており、その結果に応じてがん検診の受診も推奨されます。がん検診は、各自治体や健康保険組合などが実施しており、特に肺がん・大腸がん・前立腺がんの検査は重点的に行われています。
がん検診の受診方法にはいくつかの選択肢があります。保険加入者であれば、年に一度の特定健診を受けることができ、その結果をもとにがん検診を勧められることもあります。自治体が提供する検診では、大腸がん・胃がん・子宮頸がん・乳がんなどの検査が実施されています。ただし、受診の対象となる年齢や性別には条件があるため、事前の確認が必要です。さらに、人間ドックを利用することで、より詳細ながん検査を受けることも可能です。
しかし、自治体のがん検診だけでは全てのがんをカバーできるわけではありません。たとえば、膵臓・肝臓・胆のう・胆管・腎臓・膀胱などの腹部臓器や、脳、口腔内、咽頭、喉頭、甲状腺、さらには卵巣や睾丸といった部位のがん検診は、自治体の検診には含まれていないことが多く、自主的に医療機関で受診する必要があります。
当院では、肺がん・大腸がん・前立腺がんに特化した検診を提供しており、いずれも早期発見に有効です。肺がん検診では胸部X線や喀痰細胞診を行い、大腸がん検診では便潜血検査や必要に応じて内視鏡検査を実施します。前立腺がんについては、血液によるPSA検査で評価します。これらの検診を定期的に受けることで、がんの兆候を早い段階で見つけることができ、治療の効果も期待できます。
がんは依然として日本人の最大の死因であり、特に肺がん、大腸がん、前立腺がんは発症が多いことから、定期的な検診が非常に重要です。特定健診やがん検診を毎年受け、自身の健康状態を正しく把握し、必要な対応を早めに取ることが、健康を守る第一歩となります。ぜひ、検診を習慣化し、病気の予防と早期発見に努めましょう。